バンドネオンは、脳みそを4つに分割することを奏者に要求する


2020年5月にイタリアバンドネオンアカデミー(Accademia Italiana del Bandoneon)が、同院初となるバンドネオンオンラインコンテスト「 Los Que Vendrán」を開催し、アルゼンチン・ブエノスアイレス州プンタ・アルタ出身のJavier Mendigochea 氏が見事優勝!

指定曲が「Lo Que Vendra (来たるべき者)」なのかと一瞬思うので紛らわしい


Fabio Furia氏 (イタリア)

イタリアバンドネオンアカデミーは
バンドネオン奏者のファビオ・フリア (Fabio Furia)氏が「バンドネオンの演奏技術の研究と継承、バンドネオンの普及」を目的として2017年に設立した学術団体である。

Accademia Italiana del Bandoneon
https://www.accademiaitalianadelbandoneon.it

バンドネオン基本テクニックのチュートリアル動画も若干あり
https://www.accademiaitalianadelbandoneon.it/tutorial



Javier氏はバンドネオンインターナショナルマスタークラスの来期の奨学生として、これに参加するための奨学金を獲得する。
おめでとうございます!


優勝した Javier Mendigochea 氏の演奏動画(5,659票)

曲名:Insensatez (How Insensitive)
作曲:アントニオ・カルロス・ジョビン (Antonio Carlos Jobim)
編曲:ネストル・マルコーニ (Néstor Marconi)
https://www.facebook.com/accademiaitalianabandoneon/videos/608937729716094/

[ご参考]
マルコーニ氏ご自身の演奏(音のみ、Javier氏はこれを再現した模様)
Insensatez (bandoneón solo) – Néstor Marconi
https://www.youtube.com/watch?v=qgJvZYOwGKs


以下、他の方の演奏(一部紹介)

Veronica Maccioni 氏 (僅差で2位)
曲名:Chiquilin de Bachin (バチンの少年)
作曲:アストル・ピアソラ (Astor Piazzolla)
編曲:セサル・ストロシオ (Cesar Stroscio)
https://www.facebook.com/173428709979197/videos/538361930374659/


Frederique Bacquet 氏
曲名:El día que me Quieras (想いの届く日)
作曲:カルロス・ガルデル (Carlos Gardel)
編曲:ロドルフォ・メデーロス (Rodolfo Mederos)
https://www.facebook.com/accademiaitalianabandoneon/videos/246854556646683/

Raffaele Podda 氏
曲名:Buenas noches ché Bandoneon(こんばんは、チェ・バンドネオン)
作曲:フアン・ホセ・モサリーニ (Juan José Mosalini)
https://www.facebook.com/accademiaitalianabandoneon/videos/537165203830892/


Matías G Juanatey 氏
曲名:Flores Negras (黒い花)
作曲:フリオ・デ・カロ (Julio de Caro)
編曲:マキシモ・ホセ・モリ (Máximo Jose Mori)
https://www.facebook.com/accademiaitalianabandoneon/videos/3116114228516988/


Alejandro Pereyra 氏
曲名:La Compañera (ラ・カンパネラ、道連れ)
作曲:オスカー・ヴァレ (Oscar Valle)
編曲:マキシモ・ホセ・モリ (Máximo Jose Mori)
https://www.facebook.com/173428709979197/videos/684642079000260/



くどいようですが、ここで若干楽器の説明です。

バンドネオンには「Uni-Sonic」と「Bi-Sonic」、大きく分けて2種類の仕様のものが存在する。この世に存在するバンドネオンの9割がBi-Sonicのものである。

Bi-Sonicとは蛇腹を開いた時と閉じた時で異なる音階のリードが鳴る仕様である。(これは演奏上のメリットがあるためだがここでは説明を省く)

これについて フアン・ホセ・モサリーニ (Juan José Mosalini) 氏は、
「バンドネオンは、脳みそを4つに分割することを奏者に要求する。」と語っている。

これは、Bi-Sonicのバンドネオン奏者は左右のボタンレイアウトに加えて、開き閉じそれぞれの配列も頭に入れて演奏をしなければならないということである。

即ち、奏者は計 4種類のボタンレイアウトを常に意識せねばならない。

このような理由からこの楽器「バンドネオン」の習得は困難とされている。
が、そのようなレッテルには筆者は反対である。慣れれば決して不可能なものではないからである。

この仕様に適応ができていないBi-Sonicのバンドネオン奏者はほとんどが開き弾きに頼りがちである。(ただし、大編成の場合は閉じ引きを必要としないケース有)

ただ、今回のようなバンドネオンソロでは閉じ弾きは必須である。駆使しなければ曲間に無駄な隙が発生してしまう。(それを良しとする曲も存在する)

「数ある楽器の中でBi-Sonicのバンドネオンを選択したにもかかわらず閉じ弾きをしないのは、バンドネオンの性能を半分殺すことになる。もったいないではないか」と筆者の外道は考えている。ただのケチである。

が、これについては現在も各地で議論がされており賛否両論である。
「自分の楽器は好きなように使えばいいじゃないか」という声もある。これには筆者も納得。


以上







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