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バンドネオンが12万円? それ、50年前の話です

外道です。

今は存在しない「ラティーナ」という雑誌
インターネットで各々が欲しい情報得られますので、役割を終え休刊となっておりますが、

ラティーナオンライン
http://latina.co.jp/

「中南米音楽」から「ラティーナ」へ
https://nipo-brasil.org/archives/17202/


昔は「中南米音楽」という名称の雑誌でした。(私が生誕前の話ですが)

主にタンゴの記事を中心にフォルクローレ、サンバ、あとは、ギターやバンドネオンの講座、ステレオの買い方など紹介されておりました。

1968年の「中南米音楽」の背表紙に谷口楽器の広告が載っていたのでこちらをご覧ください。

この広告には「アーノルド製のバンドネオン 120,000円と謳われております。

昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/history/j12.htm/

この日本銀行のページによると

消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)
102.3(令和2年)÷28.2(昭和43年)≒ 3.62倍

これ即ち、
昭和43年(1968年) 当時の 10,000円が
去年(令和2年、2020年)の 36,200円の価値に相当する
ということになります。


ここだけ見るとあまりピンときませんが、下記サイトによりますと

年次統計 – 大卒初任給
https://nenji-toukei.com/n/kiji/10021

1968年 当時の大卒の初任給平均額 月給 30,600円とありますので、
120,000円のアーノルド(Alfred Arnold)製バンドネオンを購入するには約 4ヶ月分の給料相当が必要になります。

あれっ、今の感覚と同じですね。


アルゼンチン仕様
戦前(1st Type、2nd Type) Alfred Arnold製バンドネオン
全調律済、コンディション良好

であれば私の認識では現在の相場こんな感じです。

無地   650,000 ~ 700,000円
部分螺鈿 800,000円前後
総螺鈿  900,000 ~ 1,000,000円超


さて、2020年の厚生労働省の調査によりますと
大卒の初任給の平均額は 226,000円

226,000円 × 4ヶ月 = 904,000円

おっと、約 4ヶ月分の給料相当でバンドネオンが買える状況は同じです。実際にはこれに社会保険料やら所得税やらが襲い掛かります、チクショー!

それでもなんとか総螺鈿のバンドネオン買えるじゃないですか!
買えるチャンスが少しずつ減っているのは間違いないですけど!


消費者物価指数 3.62倍の部分だけ考えると、
1968年の120,000円 → 2020年の434,400円に相当
となりそうですが、これはあくまでも円の話です。

総螺鈿のバンドネオン 904,000434,400 = 470,000円

この 470,000円の値上がりはバンドネオンの楽器としての希少価値です。恐ろしや!



これには納得しているのに
ビックリマンチョコが発売当初 30円 → 現在 80円(税抜)
になっている件にはイマイチ納得していない筆者。

さすがにもう興味ないですが、たまにコンビニで見かけます。
高っ!

ビックリマンチョコの販売価格とシールサイズの推移、歴史まとめ
https://bikkuriman.zonosite.com/2019/01/12/post-733/



ちなみに 谷口楽器は今も存在します。
たまにバンドネオンが入荷するかもしれませんので近くの電柱で張り込んでください。

谷口楽器オフィシャルウェブサイト
https://taniguchi-gakki.jp/


ところで「タンゴの心」は幾らで買えますか?
いや売ってねえんだな、これが!

持っている人は大事にしましょう。

以上

バンドメカム? なんすかそれ

またしても外道です。

今回はバンドネオン情報です。
バンドネオンに興味のない方はすみません。

バンドネオンに興味のある方も、筆者の過去の記事のうち「バンドネオン」関連記事を古い順に読んでからの方が良いと思われます。


また、
「アルゼンチンタンゴはブエノスアイレスの邪悪な居酒屋 発祥の音楽です。筆者は邪悪な時代(~1919年)のアルゼンチンタンゴは好きですが、1920年以降のものは好みではありません。」

というのをアルゼンチンタンゴ→トルコポップ
という記事に、割と真面目に説明しておりますのでこちらも是非。

毎度誰かしら同じ説明をしてますが、アルゼンチンタンゴで重要な位置づけの楽器が「バンドネオン」です。


で、今回は「バンドメカム」というアルゼンチンのバンドネオン専門サイトについてです。

おもしろいので筆者と一緒にザックリなぞりましょう。

バンドメカム
https://www.bandomecum.com.ar/


いろんなトピックスありますが、例えばこの記事おもしろいです。

バンドネオンを購入する際の注意点
https://www.bandomecum.com.ar/aspectos-a-tener-en-cuenta-a-la-hora-de-comprar-un-bandoneon/

説明がすごーく丁寧です!
亜鉛プレートとアルミプレートの判別方法の説明が個人的にすごく楽しいです。

お、一番下には「売りたい、買いたい、愚痴など」コメントがわんさかです!混沌としておりますな。

あと、後半に記載されている、
「再販業者が最もよく使用する30のフレーズ集め」も皮肉が効いてて良いですね。日本ではそのような機会なかなかありません。


30)「ええ、でもバンドネオンの演奏を学ぶのに派手な楽器は必要ありませんよ…」
 
無地のバンドネオンを無理矢理売ってくる時に使うセリフですね。バンドネオンは高い買い物ですから、外装色や装飾の有無の好みがあるならそこはやはりあきらめたくないですよね。


28)「AAはバンドネオンのストラディバリウスであり、他は役に立たない」

これ、Alfred Arnold至上主義でわかりやすくて良いです。
なかなかの名言ですね。悪い出品店がボロいAAのバンドネオンを売りつけるためのセリフですね。

実際は「ELA」「Arno Arnold」「Tres B(トレスべー) 」にも良い個体はありますし、楽器によって状態はピンキリです。

このような思考停止にはバンドネオン関係者の大半は皆うんざりしています。Klaus Gutjahrの楽器を愛用している私も積極的に使っていきたいセリフです。


15)「中は見せられない、開けると調子が狂う」

気持ちはわかります!
ただ、買う側からしたら中の状態を見ないと安心して買えないんです、開けれ!見せれ!


1)それは申し分のない楽器です (=全く問題ありません)

これ、かなり怪しいセリフです。

バンドネオンに関しては全く問題がないという楽器を筆者は見たことがありません。どんな良いバンドネオンであっても1箇所くらい弱点があるはずです。




で、こちらは
バンドネオンを学ぶことができる学校や教育機関のリスト
(アルゼンチン国内)
https://www.bandomecum.com.ar/estudiar-bandoneon/

やはり名門の “Manuel de Falla(マヌエル・デ・ファリア)”
は一番上に記載されてますね。

2番手は、ブエノスアイレス市 “Astor Piazzolla” 音楽院
これは知りませんでした、ピアソラファンが殺到しそうな学校名ですね!
気になる方は今すぐ連絡して入学してください。



こちらも圧巻です。
Rodolfo Daluisio 氏 の作品カタログ
https://www.bandomecum.com.ar/rodolfo-daluisio-catalogo-de-sus-obras/

ヨハン・セバスチャン・バッハと自作曲をレパートリーにしている最強のバンドネオン奏者です。
自作曲のタイトルの羅列だけで凄いです!筆者はめまいがしてきました。



あと、
新品のバンドネオンについて
https://www.bandomecum.com.ar/sobre-bandomecum/bandoneones-nuevos/

ここには新品のバンドネオン製作販売業者が列挙されてます。

トップの写真は、Uwe Hartenhauer(ウヴェ・ハーテンハウアー)氏の楽器の写真です。クリンゲンタール推しですな。

Uwe Hartenhauer Handzuginstrumente (ドイツ、Klingenthal)
http://www.bandoneon-hartenhauer.de/

ここは値段が高めです。しかも、部品の製作を中国の下xx
…….おっと誰か来たようですね。(スタコラサッサ)



さて、
Vicente Toscano (アルゼンチン、Mendoza州)
http://www.nuestrosbandoneones.com/taller.php

ここも新品バンドネオン作り出したんですね。凄い!

商品名「Bandoneón T」
142トーン、A=442Hz チューニング、亜鉛プレート
アルゼンチンタンゴ仕様です。

値段…..書いてないし!
欲しい方は要問合せということで。





さて、
Proyecto Bandomecum(バンドメカム)は Youtubeで動画もアップしています。

筆者はこの動画を前から見たいと思っていたのでちょっとうれしいです。

曲名:How Insensitive (Insensatez)
作曲:Antonio Carlos Jobim (アントニオ・カルロス・ジョビン)
編曲:Néstor Marconi (ネストル・マルコーニ)

2013年 “Día del Bandoneón” (Bahía Blancaで行われるコンサート)



あとは対談動画だったりとか、

PEDAGOGÍA & FABRICACIÓN DEL BANDONEÓN Siglo XXI
21世紀におけるバンドネオンの教育と製造について

Eva Wolff(アルゼンチンのバンドネオン奏者 兼 教師)

う、スペイン語か…..字幕がないとしんどいです。
「自動翻訳 → 日本語」を選択して視聴!(PCのみ)

あっ、この中の
Anja Rockstroh 氏は Alfred Arnoldのブランドを受け継いだ工房である「Bandonion & Concertinafabrik Klingenthal GmbH」 の役員(代表取締役と思われる)の方です。

Bandonion & Concertinafabrik Klingenthal GmbH
“The New Alfred Arnold”
https://bandonionfabrik.de/


ちなみに、
バンドネオンは、脳みそを4つに分割することを奏者に要求する。
で紹介いたしました、 Accademia Italiana del Bandoneonの
Fabio Furia (ファビオ・フリア)氏もBandonion & Concertinafabrik Klingenthal GmbHのバンドネオンの愛用者です。

Eva Wolff氏とYvanne Hahn氏はそれぞれが執筆された教本の製作背景の説明をされています。
(バンドネオン教則本地獄の巻 で触れておりますのでご覧ください。)

ちなみに、Yvanne Hahn氏は教本の2巻目を発行予定みたいです。




おおっと、こちらは 10/27(火) 公開の、
HENRICH BAND Y EL BANDONEÓN “MITOS Y REALIDADES”
ハインリッヒバンドとバンドネオン「神話と現実」

気になるなあ、見なくては。


それでは
本日はこれにて

バンドネオンで何を弾きたいかに就いて

外道です。

唐突ですが、バンドネオンという楽器はドイツ生まれです。

ドイツのカールスフェルト(Karlsfeld) という地方です。

19世紀終わり頃のカールスフェルトは時計、オルガン、おもちゃの製造が手工業で行われており、それらの伝統を継承する工場がバンドネオン製作のベースになっていたようです。

この楽器、元々は教会音楽の演奏やポルカなどの踊りの伴奏に使用されておりましたが、1910年頃からアルゼンチンタンゴの演奏に重宝されるようになり、トータルで30,000台近くがドイツで生産され、アルゼンチンに輸出となりました。

戦後 1945年頃にアルフレッドアーノルド(Alfred Arnold)という会社が解体され、以降しばらくの間、残党の方がやや低品質の楽器を生産して現在に至る。

という歴史があります。
(詳しい説明はこちらの記事 バンドネオンの歴史に就いて に書いています。)


アルゼンチンに輸出されたもののうち、様々な理由で日本に持ち込まれたものがアルゼンチンタンゴの演奏に適したビンテージのバンドネオンとして現在も日本国内で流通しており、重宝されております。

が、製造から90〜100年が経過しており演奏可能なコンディションを保つことのできるバンドネオンは少なくなっております。

ホント見かけなくなりました。


現在もドイツにはバンドネオン愛好家は居りますが、ドイツ国内ではさほど重要な楽器とはみなされておりません。シンセサイザーの方が盛んな気がします。(ヴァーモナ(VERMONA)ウォルドルフ(Waldorf)ドイプファー(Doepfer)など)


しかし、新品のバンドネオンを製作販売する業者はドイツをはじめとした各地に存在しており、それは旧式の物とは別の優れた点があります。

筆者はバンドネオン開始当初はビンテージバンドネオンを使用しておりましたが、新品のバンドネオンを自分で長年弾き込んでビンテージ楽器にする方向に頭を切り替えました。


バンドネオンといえばやはりアルゼンチンタンゴのイメージは強く、ビンテージのバンドネオンにこだわりたいところです。

が、筆者にはそのような考えはないです。
望み通りのビンテージバンドネオンは手に入らないからです。

ただ、バンドネオンをするからといってアルゼンチンタンゴに拘泥する必要はありません。


で、何を弾くのかという話題ですが、筆者は今は自作曲がとにかく弾きたいです。

DAWにMIDIデータを打ち込んで、Vst PluginよりWAV出力をしたのが下記になります。

難しいのは嫌なので、音数をなるべく少なくすることに力を入れています。

GEDO Mar – La Valse des Coquilles de Pistache (ピスタチオの殻のワルツ)

で、こちらが演奏動画です。
こんな曲でも弾けるとうれしいものです。



こちら下記 2曲はまだ練習中です。
簡単なはずですが、これがなかなか。




以上