外道です。
2022年2月5日(土)に清水きよし氏のパントマイム舞台「幻の蝶」を観た事により頭がモヤモヤするため、記事執筆です。
筆者は、ドイツのサーカスのクラウンが合間にパントマイムらしきことをするのを観たことはありますが、このようなソロのパントマイムの舞台を観るのは初めてです。ビギナー客です。
カンフェティ – 清水きよしマイムワークス
パントマイム活動55年記念公演 幻の蝶
https://s.confetti-web.com/detail.php?tid=63411

清水きよし氏のオフィシャルページ「空間の詩 Pantomime」
http://mimeworks.net/
清水きよし氏は 芸歴55年 超ベテランのパントマイミストです。お弟子さんが世界各地に居られるようです。
75歳とのことですが、かなり若々しい見た目で年齢不詳な人物です。
ライフワークであるパントマイムの練習が健康の秘訣のようです。一生続けられる事があって正直羨ましいです。

さて、この「幻の蝶」
ご本人により8つの短編作品が演じられました。
「Vol 152」とありますが、同じ演目を続けておられるのでしょうか、凄いです。
あれもこれもと新しい事をするのではなく、大事ないくつかのものに限定してひたすら練度を高めていくスタイルでしょうか。
会場は銀座シックス B3Fの「観世能楽堂」
所要時間は 2時間で、第一部と第二部の間に 15分の休憩がありました。
配布されたリーフレットには下記のようにタイトルと簡単な説明が記載されておりました。
第一部
・「風船売り」
公園にやってきた風船売り、少年たちと出会い
・「手品師」
鮮やかな手先も時には…
・「ペンキ屋」
ようやくペンキを調合、はしごを登り、塗り始めたが…
・「たばこ」
懐かしい思い出、そして心痛む想い出
————- 休憩 15分————-
第二部
・「つり」
なかなか釣れず、やっと掛かった獲物は…
・「秋の日の想い出」
柿、そして夢中になって追いかけたトンボ
・「いのち」
生から死へ、老人は彼岸へと旅立つ
・「幻の蝶」
美しい蝶に出会い。追い続け…
第一部は白い衣装、
第二部は色付きのシンプルな衣装
最後にアンコールで「つばさ」という作品が演ぜられました。
ちなみに「パントマイム=サイレント劇」なので演者がセリフを発することはなく、このリーフレット以外のヒントは一切ございません。
BGMは 11弦ギター奏者の辻 幹雄 氏が担当
生演奏です。しかも珍しい楽器です。
2パートのシンプルなアルペジオを繰り返して構成された曲で個人的に好みでした。
BGMは常に鳴っているわけではなく、作品の最初と終わり際に数分鳴ってました。このBGMがパントマイムの内容と非常に合っておりまして、ほっこりした雰囲気で楽しむことが出来ます。
で、肝心な内容ですが、
筆者の理解度は 20~30%くらいといったところです。
リーフレットの説明を敢えて読まずに観劇をしましたが、気を抜くと「何を目的とした動作なのか」がわからなくて置いてけぼりを食う感じになります。
「ペンキ」と「たばこ」が馴染みのない動きの連続で何してるのかがほとんどわかりませんでした。
集中して表情と動作をみないといけません。
座ってのんびり観ているようで、実は受け身の娯楽ではありません。清水氏の挙動を見逃さないようにするのは結構疲れます。
敢えて動画を貼る事はしませんが、ダンサーや空手の型のようなメリハリのある素早い動きではなく、ふわっとした自然な動きを緻密に連続的に行う感じでした。仮に仕事でこれら動作を「憶えろ」と言われても常人が出来るようなものではありません。
そもそも演じたものが我々観客にちゃんと伝わるかどうかは別問題です。
同じ物をみても受け手に個人差があるのは、映画やお芝居でさえよく起こる事ですし、これは仕事や生活でも同じです。
自分が発したものが相手にきちんと理解されているかどうかはわからないという事です。
そのため言葉で確認をしたり、メモを取ったり、ExcelやWordで一生懸命に記録を残すのです。
しかし、パントマイムは自分の解釈が正しいかどうかの確認は取れません。演者からもお客さんからもです。
場面で笑っている人はいましたが、個人的には「なんだよ集中して見てるんだからネタバレすんじゃねえよコラ」という感じでした。
TV番組の「笑っていいとも」の客の笑い声についていけておらず、自分が笑えていない感じと言えばお判りいただけるでしょうか。
周りを見ると寝てしまっている人、退屈そうにしている子供が複数見受けられました。入場料を払っても損する人です、これは残念!
情報量に制約があるお芝居ですから、お客さん側からキャッチしに行かねばいけないわけです。
無音の白黒映画よりも情報量少ないです。即ち想像力が試されるのです。清水氏から感性を問われているのですよ、しかも一人一人にタイマンで。
Youtubeの字幕付き実況付きの動画とか、CG映像がやたらと綺麗な映画やゲームに慣れていると普通に負けますこれは。
プロレスの試合すら「あんなのは八百長だ」と理解ができない方にはパントマイムから何かを感じとる事はなおさら難しいでしょう。
しかし、見える人にはバッチリ見えているのです。筆者はそこが悔しくて仕方ありません。チクショー! (感性が鈍くて申し訳)
それでも、終わった後「あれは何だったんだろう」と頭がモヤモヤしてしばらく楽しめております、嬉しいです。
一応、清水 氏のWebページには解答に近いもの (各作品が意図しているもの)が記載されておりました。これでもネタバレになりますので舞台を観ていない方は読まない事をお勧めします。
清水きよし氏のオフィシャルページ「空間の詩 Pantomime」
– 作品について
http://mimeworks.net/maborosinocho-nituite.html
自分の解釈が合っているか間違っているかはもはやどうでも良いです。
それに「ああ、良いお芝居だった」で終わるより、何かモヤモヤした余韻のようなものがしばらく残るのはお得な気がしますよ。
この記事をまとめた甲斐あり、なんとか理解度50%くらいには持っていけたような気がします。
今回観た内容を忘れた頃にまた「幻の蝶」を観たら一体何がみえるのか楽しみです。
あと、同じ曲だけバンドネオン練習続けようかななどと考えたりして。
以上